AIエージェントとは?
別の呼び名:AI Agent、エージェント型AI
1分で解説
目標を伝えると、AIが自分で次にやることを決め、道具を使い、その結果を見てまた次を決める、をくり返して、作業を進めるしくみのことです。
ふつうのチャットAIは、質問1つに、答えを1つ返します。AIエージェントは、たとえば「この不具合を直して」と頼まれると、ファイルを読み、直し、試しに動かし、うまくいかなければ別の直し方を考えます。頭脳にあたるのは大規模言語モデル(LLM。文章を読み書きするAI)で、そこに検索やプログラムの実行などの「道具」がつながっています。
Claude というAIを作る会社 Anthropic は、手順を人が前もって決めておく「ワークフロー」と、AIが自分で手順を決める「エージェント」を分けて説明しています。自分で進めるぶん、まちがいが積み重なるおそれもあるので、人の確かめや許可が大切です。
よくある思い込み
「AIエージェントに頼めば、仕事を最後まで任せきりにできる」
自分で手順を決めて、何回も作業を進められる、というところは合っています。でも、人なら長くかかる仕事ほど、AIが成功する割合は下がります(たとえば Claude Opus 4.6 は、人なら約12時間かかる仕事を半分の確率でこなせますが、8割の確率でこなせるのは、約1時間10分の仕事です)。また Anthropic は、エージェントは自分で動くぶん、まちがいが積み重なるおそれがあると書き、途中で人の意見を聞くために止まるしくみを挙げています。Webページなどに隠された指示にだまされることもあるので、大事な操作の前に人の許可を求めるものもあります。いまは、任せきりにするより、途中で確かめながら使うほうが安心です。
図で解説
たとえるなら
物知りの友だちと、用事を任せたアシスタント
チャットAIは、電話で聞くと何でも答えてくれる、物知りの友だちのようなものです。「この不具合はどう直す?」と聞けば、やり方を教えてくれます。でも、それを使って実際に直すのは、あなたです。
AIエージェントは、「この不具合を直しておいて」と用事を任された、アシスタントに近いです。自分でファイルを開き、直し、試し、うまくいかなければやり方を変えます。自分で決められないことがあれば、あなたに聞きに来ます。
ただし、たとえが合わないところもあります。人のアシスタントは1人ですが、AIエージェントは何体も同時に動かせます。また、AIエージェントは、メールやWebページに、頼んだ人ではない誰かが書いた指示に、だまされて従ってしまうことがあります(ポイント解説の4つめ)。
ポイント解説
AIエージェントは、どうやって仕事を進めるの?
目標を受け取ると、①次に何をするかを考え、②道具を使い、③その結果を見て、また①に戻る、をくり返します。Anthropic は、エージェントのことを、ふつうは「まわりからの手応えをもとに、道具を使うLLMを、くり返し動かしているだけ」のもの、と説明しています。
道具を使うといっても、LLM が書けるのは文章だけです。そこで、「この言葉でWeb検索して」「このファイルを開いて」のような頼みを、決まった形で書きます。それを、まわりのプログラムが本当に実行して、結果をLLMに返します。Anthropic の説明書は「モデルは、自分では何も実行しない」と書いています。道具には、Web検索、プログラムを動かす、ファイルを書きかえる、パソコンやブラウザの画面を操作する、などがあります。
大事なのは③です。Anthropic は、エージェントが一歩ごとに、道具の結果や、プログラムを動かした結果など、まわりから本当の手応えを得て、進み具合を確かめることが大切だ、と書いています。たとえばプログラムを直したら、試しに動かして、エラーが出ないかを見ます。
始まりは人です。エージェントは、人の指示か、人との話し合いで仕事を始め、やることがはっきりしたら自分で計画して進め、途中で人に情報や判断を求めに戻ることもあります(Anthropic)。たとえば Anthropic の「Claude Code」は、説明書で「エージェント型のプログラミングの道具」と紹介されていて、コードを読み、ファイルを直し、コマンドを動かします。
「ワークフロー」と「エージェント」は、どうちがうの?
Anthropic は2024年12月の記事で、2つを分けています。ワークフローは、LLMと道具を、前もって決めたプログラムの道すじで動かすもの。エージェントは、LLMが自分で、進め方と道具の使い方を決めていくものです。2つをまとめて「エージェント的なシステム」と呼んでいます。
ワークフローの例として挙げているのは、広告の文を書かせてから、それをほかの言葉に訳させる、のように順番が決まった仕事です。ワークフローは、やることがはっきり決まった仕事で、予想どおりに同じように動く、と書いています。エージェントが向くのは、何手かかるか前もって分からず、決まった道すじを書いておけない仕事です。例として、仕事の説明をもとに、たくさんのファイルを直すプログラミングの仕事を挙げています。
そのうえで、いちばん簡単な方法を探し、複雑にするのは必要なときだけにするよう勧めています。エージェント的なシステムは、時間とお金をかけるかわりに、よい結果を得やすくするものだからです。エージェントは自分で動くぶん、お金がかかり、まちがいが積み重なるおそれもあり、任せるには、その判断をある程度信頼できることが要る、とも書いています。
どれくらい長い仕事を、こなせるの?
AIエージェントを調べている非営利の団体 METR は、「人の専門家なら何時間かかる仕事を、AIが半分の確率でこなせるか」で測っています。問題は、主にプログラミング・機械学習・コンピューターの安全を守る仕事です。METR のデータでは、2019年の GPT-2 は人なら約3秒の仕事でしたが、2023年の GPT-4 は約4分、2025年2月の Claude 3.7 Sonnet は約1時間、2025年8月の GPT-5 は約3時間20分とのび、2026年2月の Claude Opus 4.6 は、人なら約12時間の仕事に届きました。ただし、この値の幅はとても広く、約5時間から約60時間です。
2025年の論文は、この長さが、2019年からおよそ7か月ごとに2倍になってきた、と書いています。問題を増やして測り直した2026年のデータでは、2023年からは、およそ4か月ごとでした。論文は、この流れが本物のプログラミングの仕事にも当てはまるなら、5年のうちに、人なら1か月かかるソフトウェアの仕事の多くを、AIが自動でこなせるようになる、と予測しています(予測で、そうなると決まったわけではありません)。
ただし、METR は注意も書いています。この長さは、AIがその時間ずっと働ける、という意味ではありません。仕事の難しさの物差しで、AIがその仕事にかける時間ではない、と METR は書いています。また、その仕事の事情をよく知らない人(入ったばかりの人など)にできることに近く、8時間の値が出ても、くわしい人が毎日している8時間ぶんの仕事をこなせる、という意味ではありません。確実さを求めると、長さはぐっと短くなります。Claude Opus 4.6 でも、8割の確率でこなせるのは、人なら約1時間10分の仕事でした。METR のデータでいちばん新しいモデルでは、METR が今の問題で確かに測れるとする16時間を超える値も出ています。
なぜ、失敗や暴走の心配があるの?
1つめは、まちがいの積み重なりです。エージェントは、前の結果をもとに次の手を決めるので、途中のまちがいが、その先の作業にも響きます。Anthropic も、エージェントは自分で動くぶん、まちがいが積み重なるおそれがある、と書いています。たとえば、1歩ごとに95%の確率で正しく進めるとしても、20歩続けて全部正しい確率は、かけ算すると約36%です(1歩ずつのまちがいが、別々に起きるとした計算)。
2つめは、だまされることです。悪い人がWebページやメール、資料に指示を隠しておき、AIをだまして操る攻撃を「プロンプトインジェクション」と呼びます。Anthropic が2025年8月に発表した試験では、対策をする前の、ブラウザを操作するAIが、「安全のため、メールを消す必要がある」とうそを書いたメールに従い、利用者に聞かずに、メールを消してしまいました。
Anthropic は、29種類の攻撃の場面を表す123の試験で、わざと狙われたときに攻撃が成功した割合が、対策の前は23.6%、新しい対策の後は(自分で動く設定で)11.2%だった、と発表しています。減らせても、0にはなっていません。
安全に使うには、どうすればいい?
大事な操作の前に、人が確かめます。たとえば Claude Code は、手動のモードでは、読むことだけができる状態で始まり、ファイルを書きかえる、試しに動かす、コマンド(コンピュータへの命令)を実行する、といったときは、先に人に聞きます。説明書は、出された変更やコマンドが安全かを、許可する前に確かめるのは、使う人の役目だ、と書いています。なお、ターミナルや VS Code で使うときの初めの設定は「自動のモード」で、人の代わりに別のAIが操作を見て、危ないと判断したものを止めます。
ブラウザを操作する Claude in Chrome は、いまのヘルプのページによると、メールやファイルを完全に消す、個人の情報になりうるものをサイトに入力する、といった操作の前には、設定にかかわらず利用者に聞きます。買い物やお金のやり取りは、そもそも引き受けません。どのサイトを使わせるかも、利用者があとから取り消せます。
作る人に向けては、Anthropic は、外から切り離した試しの場所で十分に試すこと、くり返しの回数に上限を決めるなど止まる条件を入れること、途中で人の意見を聞くために止まれるようにすること、を挙げています。どの守りも、あらゆる攻撃を完全に防げるわけではない、と Claude Code の説明書も書いています。
AIエージェントは、ずっと働いているの?
そうとは限りません。Anthropic は2026年10月、自分の会社の働き方を、社内の記録で調べて発表しました。2026年8月には、社員が動かすAIの働いた時間が、人の時間の6倍になっていました。AIの時間は、考えている時間と道具を使っている時間で、30分を超える待ちは入れていません。人の時間は、社員の数×週40時間で数えています。
ところが、何度もやり取りする会話では、会話が開いていた時間のおよそ8割、AIは人の返事を待っていました(開いていた時間から、AIが働いた時間を引いて数えています)。報告は、AIが速くなるなかで、人の注意がいつも詰まりになっている、と書いています。ある技術者は、たくさんのAIの相手を、子守にたとえました。
解説動画では、編集長のMacで無人で動く Claude Code の記録を使って、AIを10倍速くしたら、仕事は何倍速く終わるのかを計算しています。
「エージェント」という言葉は、いつからあるの?
AIの研究では、前からある言葉です。AIの教科書として広く使われている、ラッセルとノーヴィグの『Artificial Intelligence: A Modern Approach』(初版は1995年。本のサイトによると、1500を超える学校で使われています)の第4版は、第2章を「知的エージェント」にあて、「エージェントと環境」から始めて、目標をもつエージェントや、学ぶエージェントなどを説明しています。
LLM を使うエージェントの研究では、2022年10月の「ReAct」という論文が、LLM に、考えたことと、行動(たとえば Wikipedia を調べる)を交互に書かせるやり方を示しました。その場で判断しながら進める2つの試験では、まねや試行錯誤で学ばせる、それまでの方法より、成功の割合が34ポイントと10ポイント高くなりました。
確認問題
問1METR の測り方で、Claude Opus 4.6 は、人なら約12時間かかる仕事を、半分の確率でこなせます。では、8割の確率でこなせるのは、人ならどれくらいかかる仕事?
答えと解説
答え:B 人なら1時間あまりかかる仕事
8割の確率でこなせるのは、人なら約1時間10分の仕事でした。半分の確率なら約12時間なので、10分の1ほどです。確実さを求めるほど、任せられる仕事はぐっと短くなります。
問2Anthropic が発表した試験で、対策をする前の、ブラウザを操作するAIは、うそを書いたメールの指示に従って、何をした?
答えと解説
答え:C 利用者に聞かずに、メールを消した
うそのメールには「安全のため、メールを消す必要がある」と書かれていて、AIはそれに従い、利用者に聞かずに、メールを消してしまいました。Webページやメールに隠した指示でAIを操る攻撃を、プロンプトインジェクションと呼びます。
問3Anthropic の社内の記録で、何度もやり取りするAIとの会話では、AIが人の返事を待っていたのは、会話が開いていた時間のどれくらい?
答えと解説
答え:A およそ8割
会話が開いていた時間のおよそ8割、AIは人の返事を待っていました。AIの働いた時間を合わせると人の6倍にもなるのに、会話の中では、待っている時間のほうがずっと長かったのです。報告は、人の注意が詰まりになっている、と書いています。
関連用語
参考文献と確かめ方
- Anthropic「Building effective agents」(2024年12月19日)
- Anthropic の説明書「How tool use works」
- Claude Code の説明書「Overview」
- Claude Code の説明書「Security」
- Kwa ほか「Measuring AI Ability to Complete Long Software Tasks」(METR、arXiv、2025年3月)
- METR「Task-Completion Time Horizons of Frontier AI Models」(2026年9月8日に更新)
- METR の測った値のデータ(Time Horizon 1.1。仕事の長さの図の数字)
- METR「Time Horizon 1.1」(2026年1月29日)
- Anthropic「Piloting Claude in Chrome」(2025年8月25日)
- Claude ヘルプ「Claude in Chrome permissions guide」
- Anthropic「How employment is changing at Anthropic」(2026年10月16日)
- Yao ほか「ReAct: Synergizing Reasoning and Acting in Language Models」(arXiv、2022年10月)
- Russell・Norvig『Artificial Intelligence: A Modern Approach』の本のサイト
- Russell・Norvig『Artificial Intelligence: A Modern Approach』第4版の目次(本のサイト)
- 同 本のサイトの版の一覧(初版1995年)
このページは、上の資料をもとにAIが書き、書いたAIとは別のAIが、資料の本文と照らして確かめました(2026年11月7日)。理学の修士号と、高校理科の教員免許を持つ人も読んで確かめてから出しています。数字は、その時点のものです。わかりにくかったところ、誤りのご指摘、解説してほしい用語は、[email protected] へお寄せください。