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コンテキストウィンドウ(AIの作業用の記憶)とは?

別の呼び名:Context window、コンテキスト長

用語解説 ・ 確かめた日 2026年11月8日 ・ 読む 13分

1分で解説

コンテキストウィンドウとは、AIが1回の返事を作るときに、一度に見られる文章の量の上限のことです(トークンという、言葉のかけらの数で数えます)。

窓に入るのは、AIへの決まりの説明、それまでのやりとり、添付した資料、今の質問、そしてAIがこれから書く答えです。AIの会社 Anthropic は、学習に使った大量の文章とは別の、AIの「作業用の記憶」だと説明しています。

大きさは、2020年の GPT-3 では2048トークンでしたが、2026年11月には、Claude や Gemini の新しいモデルで100万トークンです。入りきらないときは、エラーで止まるか、古い分を外すか、まとめて短くします。ただ、たくさん入れるほど、AIは中身を正確に思い出しにくくなる、と Anthropic は書いています。

よくある思い込み

「コンテキストウィンドウに入れれば、AIは中身を全部、同じようにきちんと読める」

半分は合っています。窓に入れた文章は、どれも、AIが返事を作るときに見ることができます。でも、同じようには使えません。Anthropic は、トークンが増えるほど、正確さと思い出す力が落ちると説明し、これを「コンテキスト・ロット」(context rot。文脈の劣化)と呼んでいます。2023年のスタンフォード大学などの研究では、答えの書いてある資料が真ん中にあると、最初や最後にあるときより、正しく答えられる割合が下がりました。窓の大きさは「入る量」で、「きちんと使える量」とは限りません。

図で解説

コンテキストウィンドウの中身を表す図(四角の長さは、このページで作った例)。題「1回の返事で、AIが見られるもの」。上に「コンテキストウィンドウ(例:100万トークン)」。その下の横に長い1本の帯が窓で、右の端の点線が「上限」。帯の中は左から、白い四角の「決まりの説明(AIへの指示)」「前のやりとり(質問と答え)」「添付した資料(文書・画像)」「今の質問」、しま模様の四角の「書く答え(考える分も)」、点線の四角の「空き」。帯の下のかっこで、左の4つが「AIが読む分(入力)」、しま模様の四角が「AIが書く分(出力)」。その下の点線の枠に「学習に使った、大量の文章」「窓の外にあり、返事のときに見返せない」。右に「窓は、AIの「作業用の記憶」(Anthropic の説明)」。いちばん下の帯:その場で見返せるのは、窓に入れた文章だけ。
横に長い帯が、AIが1回の返事で見られる窓です。白い四角はAIが読むもの、しま模様の四角は、その回にAIが書く答えで、答えの前に考える分(推論のトークン)も入ります。読む分と書く分を合わせて、右の点線の上限までしか入りません。点線の枠の、学習に使った大量の文章は窓の外にあり、返事のときに開いて見返すことはできません。Anthropic が窓を「作業用の記憶」と呼ぶのは、このためです(四角の長さは、このページで作った例)。
窓からあふれたときの扱いを表す図(Anthropic の説明をもとにした。やりとりの数は、このページで作った例)。題「窓からあふれたら、どうなる?」。上の段「長い会話」:「質問1」「答え1」「質問2」「答え2」「…」「答え9」「質問10」の四角が横に並び、「質問10」が点線の「上限」をまたいで「はみ出す」。その下に「扱いは、使い方によって変わる:」と3つの枠。左「止まる」:1〜6の小さな四角のうち6が点線の外にはみ出し、×の印。「「プロンプトが長すぎる」というエラーで止まる」「(アプリから使う API)」。真ん中「古い分を外す」:1と2が点線の四角になって「外した」、3〜6が残る。「古いものから順に外す」「(チャットの画面など)」。右「まとめる」:1〜4が「まとめ」の1つの四角になり、5と6が残る。「古い分を、AIが書いたまとめに置きかえる」「(コンパクション)」。いちばん下の帯:外した分・まとめで落ちた分は、AIにはもう見えない。
上の段は、会話が長く続いて、10個目の質問が窓の上限(点線)からはみ出したところです。そのときの扱いは、使い方で変わります。アプリからAIを使う窓口(API)では、読ませる分だけで上限を超えると、エラーになって返事が作られません。claude.ai のようなチャットの画面では、古いものから順に外すこともあります。Anthropic の「コンパクション」は、古いやりとりを、AIが書いたまとめに置きかえます。どれも、外した分や、まとめで落ちた細かい所は、もう見えません。
答えのある場所と、正しく答えた割合のグラフ(Liu ほか、2023年の論文の表の数)。題「答えが真ん中にあると、見落としやすい」。その下に「Liu ほか(2023年)の実験。GPT-3.5-Turbo に、資料20件と質問を渡した」。縦は「正しく答えた割合」で40%から80%、横は「答えの書いてある資料を、20件の中の何番目に置いたか」で、1番目・5番目・10番目・15番目・20番目。実線の折れ線が、1番目「最初 75.8%」、5番目「57.2%」、10番目「真ん中 53.8%」、15番目「55.4%」、20番目「最後 63.2%」と、U字の形を描く。横の点線は「資料なしで答えたとき 56.1%」で、10番目と15番目は点線より下。いちばん下の帯:窓に収まっていても、真ん中は使われにくい(U字の形)。
横は、20件の資料のうち、答えの書いてある1件を何番目に置いたか、縦は正しく答えた割合です。最初に置くと75.8%、最後は63.2%なのに、10番目では53.8%で、資料を1つも渡さずに、学習で身につけた知識だけで答えたとき(点線、56.1%)より低くなりました。20件を合わせても平均3000トークンほどで、窓(4000トークン)に収まっていました。論文は、人がリストの最初と最後をよく覚える「系列位置効果」に似ている、と書いています。2023年のモデルでの結果です。

たとえるなら

作業机の広さ

コンテキストウィンドウは、作業机の広さに似ています。AIは、机の上に広げた紙(決まりの説明・それまでのやりとり・添付した資料・今の質問)を見ながら、同じ机の上で答えを書きます。机より広くは、紙を広げられません。答えを書く紙も机の上に置くので、資料で机をいっぱいにすると、答えを書く場所が無くなります。

学習で身につけた知識は、机の上ではなく、頭の中にあるものです。学習に使った本そのものは、手元にありません。本棚や引き出しは、アプリの「メモリ」の機能や、資料を探してくる検索のようなものです。要るものを取り出して、机の上に置いたときにだけ、読みながら使えます。

机が広くても、紙を広げすぎると、大事な1枚を見落としやすくなるのは、AIも同じです。ただ、たとえが合わないところもあります。人は、机から片付けた紙のことも少しは覚えていますが、AIは、窓から外れた分を、その回の返事ではまったく見られません。また、AIは返事を書くたびに、机の上の紙を最初から全部読み直します。

ポイント解説

何が、窓に入るの?

Anthropic の説明書によると、1回の返事のために送るものは、全部が窓に入ります。AIへの決まりの説明(システムプロンプト)、それまでのやりとりの1つ1つ、AIが検索などの道具を使った結果、画像や資料、使える道具の説明です。そして、AIがその回に書く答えも入ります。窓は、「読む分」と「書く分」を合わせた広さなのです。

そのため、窓が10万トークンのモデルに9万9千トークンの資料を読ませると、答えを書ける分は1000トークンほどしか残りません(このページで作った例)。Anthropic によると、Claude の新しいモデル(Claude 4.5 以降)では、書いている途中で窓の上限に届くと、そこで書くのを止めます。読ませる分だけで上限を超えるときは、初めからエラーになります。

考えてから答えるAI(推論モデル)が、答えの前に考える分(推論のトークン)も、その回の窓に入り、書いた分として数えます。前の返事で考えた分を、次の返事の窓にも残すかは、モデルによってちがいます。Claude の新しいモデルの多くは残し、ほかの入力と同じように窓に数えます(Anthropic の説明。2026年11月)。

一度読んだ分を取っておいて速く読み直す「キャッシュ」を使っても、その分は窓に数えます。キャッシュで変わるのは、その分の料金と読む速さで、窓に数えるかどうかではありません(Anthropic の説明)。

どれくらいの大きさなの?

OpenAI の2020年の論文によると、GPT-3 の窓は2048トークンでした。Google の説明書は、前の世代の文章を作るAIは一度に8000トークンしか扱えず、その後のAIが3万2000トークン、さらに12万8000トークンへと広げた、と書いています。

2026年11月の各社の説明書では、Anthropic の Claude の新しいモデル(Claude Opus 5.5 など)と、Google の Gemini 4 Argon が100万トークン、OpenAI の GPT-6 Astra が105万トークンです。Claude が1回の返事で書けるのは、1回ずつ頼むふつうの使い方で、そのうち12万8000トークンまでです。

100万トークンは、どれくらい? Google の説明書は、「ふつうの長さの英語の小説8冊」「1行80文字のプログラム5万行」「ふつうの長さのポッドキャスト200回分以上の書き起こし」などとたとえています。Anthropic は、Claude の今の区切り方で、約55万5000語、文字にして約250万字としています。ただ、1トークンが何文字にあたるかは、モデルと言葉によって変わります(Anthropic の用語集)。日本語の文の字数は、この数とはちがってきます。

窓からあふれたら、どうなるの?

使い方によって、扱いが変わります。Anthropic の API(アプリからAIを使うための窓口)では、読ませる分だけで窓を超えると、「プロンプトが長すぎる」というエラーが返り、返事は作られません。

チャットの画面では、古いものから順に外していくやり方もあります。Anthropic は、claude.ai のようなチャットの画面が、先に入ったものから先に外す形で窓を管理することもある、と書いています。外した分は、AIにはもう見えません。

まとめる、というやり方もあります。Anthropic の「コンパクション」(圧縮)は、古いやりとりを、AIが書いたまとめに置きかえて、会話を窓の上限の先まで続けられるようにする機能です。Anthropic は2025年9月の記事で、プログラムづくりを手伝うAIの道具 Claude Code でも、上限に近づいた会話をAIにまとめさせ、そのまとめと、最近開いた5つのファイルで作業を続ける、と説明しています。ただ、まとめで落ちた細かい所は、あとで要っても見えません。説明書は、まとめが大事な所を落とすときのために、まとめ方の指示を自分で書くやり方も用意しています。

窓は、大きいほどよいの?

入る量が多いのは便利ですが、Anthropic は、文脈が多ければ自動的によくなるわけではない、と書いています。トークンが増えるほど、正確さと思い出す力が落ちるからです(コンテキスト・ロット)。ある所で急に読めなくなるのではなく、だんだん落ちていく、という説明です。

2023年の、スタンフォード大学などの研究者の論文「Lost in the Middle」(真ん中で迷子)は、AIに質問と20件の資料を渡し、答えの書いてある1件を置く場所を変えて試しました。GPT-3.5-Turbo では、答えの資料が最初にあると75.8%、最後にあると63.2%正しく答えたのに、10番目では53.8%で、資料を渡さずに、学習で身につけた知識だけで答えたときの56.1%より低くなりました。20件の資料を合わせた長さは平均で3000トークンほど(いちばん長くて3920)で、窓(4000トークン)に収まっていました。論文は、窓を広げたモデルが、入れた文章をうまく使えるとは限らない、とも書いています。

Google の説明書も、1つの情報を探すだけなら99%ほど見つけられても、いくつもの情報を探すときは同じ正確さにはならず、場合によって大きく変わる、と書いています。もう1つは料金です。使った量で払うしくみでは、長い資料を送るたびに、読む分の料金がかかります。OpenAI の GPT-6 Astra では、27万2000トークンを超えて読ませると、その1回は、読む分が2倍、書く分が1.5倍の値段になります(2026年11月)。

なぜ、上限があるの?

今のAIの多くが使うしくみ(トランスフォーマー)は、答えを作るとき、窓の中のトークンどうしを見比べて、どれとどれの関係が深いかを計算します(アテンション、注意)。見比べる組み合わせは、トークンが2倍になると約4倍、10倍になると約100倍に増えます(クラスの人数が2倍になると、2人ずつの組み合わせが約4倍になるのと同じです)。2017年の論文も、この計算の量が、文の長さの2乗に比例して増えることを示しています。

Anthropic は、窓が長くなるほど、組み合わせが多すぎて、1つ1つの関係をとらえる力が「薄く引きのばされる」と書いています。また、AIは学習に使った文章から注意の向け方を身につけますが、その文章には短いものが多いので、長い文章全体にまたがる関係を扱った経験が少ない、とも説明しています。窓を大きくすると計算が重くなり、大きくしても、入れた分をうまく使えるとは限らないのです。

長い資料を読ませるコツは?

Anthropic の説明書は、2万トークンを超えるような長い資料では、資料をプロンプト(AIへの指示の文)の上の方に置き、質問や指示は最後に書くよう勧めています。試験では、質問を最後に置くと、答えの質が最大で30%よくなった、としています(会社の説明)。Google の説明書も、文脈が長いときは、質問を最後に置くと成績がよくなることが多い、と書いています。

ほかにも Anthropic は、資料が何件もあるときは1件ずつ印(XMLのタグ)で囲んで出どころを書くこと、答える前に、資料から関係のある所を引用させることを勧めています。Anthropic のAIエージェントを作る人向けの記事は、ほしい結果に役立つ情報を、できるだけ少なく選んで入れるよう勧めています。窓は大きくても、何を入れるかを選ぶことが大事なのです。

学習した知識や「メモリ」の機能とは、何がちがうの?

学習した知識とは、別のものです。Anthropic の用語集は、コンテキストウィンドウを、AIが学習に使った大量の文章とは別の、AIの「作業用の記憶」と説明しています。学習に使った文章を、返事を作るときに開いて見返すことはできません。その場で見返せるのは、窓に入っている文章だけです。

Anthropic の「メモリの道具」(memory tool)は、覚えておきたいことを窓の外のファイルに書き残し、次の会話で、要るときに読み込むしくみです。全部を窓に入れておかなくても、知っていることを増やしていける、と説明しています。資料を探して窓に入れる「検索拡張生成(RAG)」も、窓の外にある情報を、要る分だけ窓に運びます。どちらも、最後はAIが窓の中で読みます。

確認問題

  1. 問1コンテキストウィンドウ(AIが1回の返事で見られる量の上限)は、2つのものが同じ広さを分け合っています。その2つとは?

    答えと解説

    答え:C AIに読ませる文章と、AIが書く答え

    窓には、AIに読ませる文章(決まりの説明・それまでのやりとり・資料・質問)と、AIがその回に書く答えが入り、同じ広さを分け合います。10万トークンの窓に9万9千トークンの資料を読ませると、答えに使えるのは1000トークンほどです。学習に使った文章は窓の外にあり、返事のときに見返せません。

    くわしくは → ポイント解説:何が、窓に入るの?

  2. 問22023年の研究で、AI(GPT-3.5-Turbo)に質問と20件の資料を渡し、答えの書いてある1件を置く場所を、1番目・10番目・20番目などに変えました。正しく答えた割合がいちばん低かったのは、その1件を何番目に置いたとき?

    答えと解説

    答え:A 20件のうちの10番目

    答えの資料が最初にあると75.8%、最後にあると63.2%正しく答えたのに、10番目では53.8%まで下がり、資料を渡さないときの56.1%より低くなりました。窓に入っていても、真ん中の情報は使われにくいのです(Liu ほかの論文「Lost in the Middle」)。

    くわしくは → ポイント解説:窓は、大きいほどよいの?

  3. 問3AIとのとても長い会話で、やりとりがコンテキストウィンドウ(AIが1回の返事で見られる量の上限)に入りきらなくなりました。チャットの画面やAIの道具がすることがあるのは?

    答えと解説

    答え:B 古いやりとりを、短いまとめに置きかえる

    Anthropic の「コンパクション」は、古いやりとりを、AIが書いたまとめに置きかえます。claude.ai のようなチャットの画面では、古いものから順に外すこともあります。窓は学習とは別のもので、トークンで数えるので、字の大きさは関係ありません。外した分や、まとめで落ちた細かい所は、もう見えません。

    くわしくは → ポイント解説:窓からあふれたら、どうなるの?

この用語が出てくる問い

参考文献と確かめ方

このページは、上の資料をもとにAIが書き、書いたAIとは別のAIが、資料の本文と照らして確かめました(2026年11月8日)。理学の修士号と、高校理科の教員免許を持つ人も読んで確かめてから出しています。数字は、その時点のものです。わかりにくかったところ、誤りのご指摘、解説してほしい用語は、[email protected] へお寄せください。

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