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ニューラルネットワークとは?

別の呼び名:Neural network、人工ニューラルネットワーク、ニューラルネット

用語解説 ・ 確かめた日 2026年11月8日 ・ 読む 13分

1分で解説

ニューラルネットワークとは、数を受け取って計算し、次へ渡す小さな部品(ノード)を、層に並べてたくさんつないだ、AIの計算のしくみです。

1つのノードがすることは簡単です。前から入ってきた数の1つ1つに「重み」という数を掛けて足し、決まった形の計算に通して、次へ渡します。気温や写真などを数にして入力の層に入れると、間にある隠れ層を通って、出力の層から答えが出ます。

学ぶとは、出した答えと正しい答えのずれが小さくなるように、重みを少しずつ直すことです。名前と考えは脳の神経細胞(ニューロン)から借りましたが、脳の写しではありません。ChatGPT のようなAIの中身も、巨大なニューラルネットワークです。

よくある思い込み

「ニューラルネットワークは、人の脳をそのまままねて作った、コンピューターの中の脳」

半分は合っています。考えのもとは、たしかに脳です。この技術は初め脳の作りから考えを得たもので、ノードは脳の神経細胞にあたり、ノードどうしのつながりはシナプス(神経細胞のつなぎ目)にたとえられます。でも、まねたのは大まかな形だけです。本物の神経細胞には種類がたくさんあり、シナプスは1つの数(重み)で表せるほど単純ではなく、信号を出すタイミングも大事です。ノードは、神経細胞をごく大まかにまねたモデルにすぎません。この分野は初め、脳のしくみを表すことをめざしていましたが、その後は離れて、機械学習でよい結果を出すための工学になりました。

図で解説

1つのノードの計算を表す図(数は、このページで作った例)。題「1つのノードがすること」。左に「前から来た数」として、丸の中の「2」「1」「3」。それぞれから、真ん中の大きな丸「掛けて足す」へ線がのび、線のすぐ横に重み「×0.5」(細い実線)、「×(−1)」(点線)、「×1」(太い実線)。上に「重み(線ごとに1つ)」、大きな丸の上に「ノード(人工のニューロン)」。丸の下に「2×0.5+1×(−1)+3×1=3」と「実際は、合計にもう1つの数(バイアス)も足す」。丸から「3」が右の四角「計算に通す」(マイナスなら0、ほかはそのまま)へ進み、四角の上に「活性化関数(例:ReLU)」。四角から右の丸「3」へ進み、その下に「次へ渡す」。いちばん下の帯:学ぶと変わるのは、線ごとの「重み」の数。
ノードは、前から来た数(2・1・3)の1つ1つに、線ごとの重み(0.5・−1・1)を掛けて足します。合計は3です。それを、活性化関数という決まった形の計算に通します。例の ReLU は、マイナスなら0にし、ほかはそのまま通すので、3のまま次のノードへ渡します。実際は、合計にバイアスという数も足します。線の太さと形は、重みの大きさと、マイナスかどうかを表しています(数は、このページで作った例)。
ノードを層に並べたニューラルネットワークの図(入れる数と答えは、このページで作った例)。題「ノードを層に並べて、つなぐ」。左の列「入力の層」に、「気温」「湿度」「風」の3つの丸。真ん中の列「隠れ層(間の層)」に4つの丸。右の列「出力の層」に1つの丸と「雨の量」。入力の層の丸は隠れ層のすべての丸と、隠れ層の丸は出力の丸と、線でつながる。出力の右下に四角「正しい答えと比べる」。下に、左から右への実線の矢印「① 答えを出す計算は、左から右へ」と、四角から下りて右から左へ戻る点線の矢印「② ずれを右から左へさかのぼって、重みを直す(誤差逆伝播法)」。いちばん下の帯:線は16本=重み16個。バイアス5個と合わせ、学んで決める数は21個。
左の入力の層に数を入れると、隠れ層、出力の層の順に計算が進み、答えが出ます(実線の矢印)。その答えを正しい答えと比べ、ずれを右から左へさかのぼって伝えて、ずれが小さくなるように線ごとの重みを直します(点線の矢印。誤差逆伝播法)。この形では、線は16本、隠れ層と出力の層のノードに1つずつのバイアスが5個、学んで決める数は合わせて21個です。隠れ層を何段も重ねたものが、深層学習で使う深いネットワークです。
脳の神経細胞と、人工のニューロン(ノード)を比べる図。題「名前と考えは、脳の神経細胞から借りた」、その下に「似ているところと、ちがうところ」。左の枠「脳の神経細胞(ニューロン)」:枝分かれした「樹状突起」、丸い細胞の体、長くのびる「軸索」、その先の小さな丸の「シナプス」。下に「樹状突起で受け取り、軸索で送り出す」「合わせた信号が大きいと、スパイクを出す」。右の枠「人工のニューロン(ノード)」:「2」「1」「3」の丸から線がのび、線の横に「×重み」、真ん中の丸「足す」、右へ矢印と「計算に通して渡す」。下に「数を受け取り、重みを掛けて足す」「重みが、シナプスの強さにあたる」。その下の点線の枠「ちがうところ(ノードは、神経細胞をごく大まかにまねたもの)」:本物の神経細胞は、種類がいろいろ。シナプスは、1つの数では表せない。信号を出すタイミングも大事。人の神経系に、神経細胞が約860億個。いちばん下の帯:考えは脳から借りたが、中身は数の計算(脳の写しではない)。
左は脳の神経細胞です。樹状突起でほかの細胞からの信号を受け取り、合わせた信号がある大きさを超えると、軸索にスパイクという信号を出し、シナプスで次の細胞へ伝えます。右のノードは、これをまねて、数に重みを掛けて足し、計算に通して渡します。重みがシナプスの強さにあたります。でも、これはごく大まかなまねで、下の枠のようなちがいがあります。人の神経系には約860億個の神経細胞があり、約100兆〜1000兆のシナプスでつながっています。

たとえるなら

何列にも並んで、数を伝える人たち

ニューラルネットワークは、何列にも並んだ人たちが、数を伝えて答えを決めるようすに似ています。1列目の人は、気温や湿度などの数を1つずつ持っています。2列目の人はそれぞれ、1列目の全員の数を聞き、「この人の数は重く、この人の数は軽く」と、決まった重みを掛けて足し、自分の数を決めて次の列へ伝えます。最後の列の人が、答え(たとえば雨の量)を言います。

答え合わせで外れたら、ずれの大きさを、最後の列から前の列へ、順に伝えていきます。そして全員が、だれの数をどれだけ重く聞くかを、ずれが小さくなる向きへ、少しだけ直します。これをたくさんの例でくり返すうちに、列全体で、よく当たる聞き方が身についていきます。

たとえが合わないところもあります。人は話の意味を考えますが、ノードは数を掛けて足し、決まった計算に通すだけで、それが気温なのか何なのかを知りません。また、だれの数をどれだけ重く聞くかは、人が1人ずつに教えるのではなく、直すことをくり返すうちに決まります。

ポイント解説

1つのノードは、何を計算しているの?

ニューラルネットワークのノード(ニューロンとも呼びます)は、2つのことをします。①入ってきた数の1つ1つに、それぞれの重みを掛けて足す。②その合計を、「活性化関数」という決まった形の計算に通す。①の合計には、ノードごとに「バイアス」という数も足します。バイアスは、1次関数の式 y=ax+b の b(グラフが縦の軸と交わる所)と同じ考えの数です。重みとバイアスは、どちらも学ぶときに決まる数(パラメーター)です。

たとえば、入ってきた数が2・1・3で、重みが0.5・−1・1なら、2×0.5+1×(−1)+3×1=3です(このページで作った例)。よく使われる活性化関数の1つ ReLU は、マイナスの数なら0にし、そのほかはそのまま通します。この例では、3のまま次の層のノードへ渡します。

なぜ、②がいるのでしょう。掛けて足すだけの計算を何段重ねても、全体はやはり掛けて足すだけの計算で、こみいった関係を学べないからです。②で、まっすぐではない(非線形の)計算をはさむと、層を重ねるほど、とても複雑な関係を表せるようになります。

いくつかの数を受け取り、重みを掛けた合計に計算をして、1つの数を出すしくみを「パーセプトロン」と呼びます。ニューラルネットワークのニューロンは、このパーセプトロンです。パーセプトロンは、1958年にローゼンブラットが発表したしくみの名前です。

層は、どう分かれているの?

数を入れる「入力の層」と、答えを出す「出力の層」、そのあいだの「隠れ層」に分かれます。たとえば、3つの数を入れる入力の層と、答えを出す1つのノードのあいだに、4つのノードでできた隠れ層をはさむとします。隠れ層のノードは、それぞれ3つの重み(入ってくる数1つにつき1つ)と1つのバイアスを持ち、全体で学んで決める数は21個になります。

「隠れ」というのは、入力でも出力でもない、中にある層だからです。1986年の誤差逆伝播法の論文は、入力にも出力にも入らない、中の「隠れた」ユニット(ノード)が、重みを直していくうちに、その仕事で大事な特徴を表すようになる、と書いています。どのノードが何を表すかを、人が先に決めておくのではありません。

隠れ層を2つ以上重ねたものを、ディープ(深い)ニューラルネットワークと呼びます。層を深く重ねると何が変わるのかは、「深層学習」のページでくわしく説明します。

大きなものでは、学んで決める数がとても多くなります。ChatGPT のような大規模言語モデル(LLM)も巨大なニューラルネットワークで、使われているトランスフォーマーというしくみでは、パラメーターが数千億個から数兆個にもなります(くわしくは「トランスフォーマー」のページ)。

学ぶときは、何をしているの?

重みを少しずつ直しています。1986年、ラメルハート(David Rumelhart)、ヒントン(Geoffrey Hinton)、ウィリアムズ(Ronald Williams)は、科学誌 Nature の論文で、「誤差逆伝播法」(バックプロパゲーション)という学び方を示しました。ネットワークのつながりの重みをくり返し直して、実際に出した答えと、出してほしい答えのずれを小さくしていくやり方です。

学ぶときは、2つの段をくり返します。①例を入れて答えを出し、正しい答えと比べて、ずれ(損失)を測る。②ずれが小さくなるように、隠れ層のすべてのノードの重みを直す。②が誤差逆伝播法で、それぞれの重みを増やすか減らすかを決めます。この計算は、出力の側(終わり)から始まり、前へさかのぼっていきます。

1回に直す量は、少しだけです。どれだけ直すかを決める数を「学習率」といい、大きいほど、1回で重みを大きく動かします。まちがいが減る向きへ数を少しずつ動かす「勾配降下法」(くわしくは「機械学習」のページ)を、層の多いニューラルネットワークでできるようにしたのが、誤差逆伝播法です。

重みは、人が1つずつ決めるのではありません。学ぶこと(訓練)とは、モデルのいちばんよい重みを見つけることです。たくさんの例で答え合わせと直しをくり返すうちに、重みが決まっていきます。

脳の神経細胞と、どこが似ていて、どこがちがうの?

脳の神経細胞は、樹状突起(じゅじょうとっき)でほかの細胞からの信号を受け取り、1本の軸索(じくさく)で信号を送り出します。軸索の先は枝分かれして、シナプスというつなぎ目で、ほかの神経細胞の樹状突起につながります。受け取った信号を合わせたものが、ある大きさを超えると、神経細胞は軸索に「スパイク」という信号を送ります。人の神経系には約860億個の神経細胞があり、約100兆〜1000兆のシナプスでつながっています。

ノードは、ここから考えを借りました。ノードに入ってくる数は、ほかの神経細胞の軸索を伝わってくる信号に、重みはシナプスの強さにあたり、活性化関数は、神経細胞が信号を出す頻度を表したものです。ノードどうしのつながりも、シナプスのように、強くも弱くもなります。

でも、これはごく大まかなまねにすぎません。本物の神経細胞にはたくさんの種類があり、それぞれ性質がちがいます。樹状突起は、それ自体がこみいった計算をします。シナプスは1つの重みではなく、複雑に変わり続けるしくみです。スパイクを出すタイミングが大事なところもあります。

この分野は初め、脳のしくみを表すことをおもな目当てにしていましたが、その後は離れて、機械学習でよい結果を出すための工学になりました。名前と考えは脳から借りましたが、今のニューラルネットワークは、脳を写すためのものではありません。

いつ、だれが考えたの?

1943年、マカロック(Warren McCulloch)とピッツ(Walter Pitts)は、論文「神経の活動にひそむ考えの、論理による計算」を出しました。神経の活動は、信号を出すか出さないかの「全か無か」なので、正しいか正しくないかを組み合わせる論理で扱える、という考えです。神経細胞をつないだ網(ネット)のふるまいは、どれもこのやり方で表せる(輪になった網には、もっと込み入った論理を足す)、と論文の要旨は書いています。

1958年、コーネル航空研究所の心理学者ローゼンブラット(Frank Rosenblatt)は、論文「パーセプトロン:脳の中で情報をたくわえ、まとめるしくみの、確率のモデル」を出しました。同じ年の7月、アメリカ海軍研究局がパーセプトロンを公開しました。部屋ほどの大きさのコンピューター IBM 704 に、印の付いたカードを次々に読ませると、50回ためしたあと、左に印のあるカードと右に印のあるカードを、自分で見分けられるようになりました。ニューヨーク・タイムズは「海軍の新しい装置、やってみて学ぶ」という見出しを付けました。

パーセプトロンは、脳の中で神経細胞が協力して働くようすから考えを得た、層が1つのニューラルネットワークでした。1969年には、ミンスキー(Marvin Minsky)とパパート(Seymour Papert)が本『パーセプトロン』でローゼンブラットの仕事を強く批判し、この本がローゼンブラットの研究の行く末を、ほぼ決めてしまったといわれます。それでも、コーネル大学のヨアヒムス教授(Thorsten Joachims)は、ローゼンブラットのやり方は、今の深いネットワークの学ばせ方の土台になっている、と話しています。

その後、1982年にホップフィールド(John Hopfield)が、覚えた記憶の、十分な大きさの一部から、記憶の全体を取り出せるネットワークの論文を出しました。1985年にはヒントンたちが「ボルツマンマシン」の学び方を、1986年にはラメルハート、ヒントン、ウィリアムズが誤差逆伝播法を示しました。

なぜ、ノーベル物理学賞をもらったの?

2024年10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーは、ノーベル物理学賞を、アメリカのプリンストン大学のホップフィールドと、カナダのトロント大学のヒントンに贈ると発表しました。賞の理由は「人工のニューラルネットワークによる機械学習を可能にした、基礎となる発見と発明に対して」です。2人は、物理学の道具を使って、今の強力な機械学習の土台になるやり方を作りました。

ホップフィールドのネットワークは、絵などの形を覚えておき、もう一度つくり出すしくみです。ノードは、絵の点(画素)だと考えることができます。原子の「スピン」(原子1つ1つを小さな磁石にする性質)による物質の性質を表す物理学を使い、覚えた絵の「エネルギー」が低くなるように、ノードどうしのつながりの値を決めておきます。くずれた絵や欠けた絵を入れると、少しずつノードの値を直して、覚えた絵のうち、いちばん似ている絵にたどり着きます。たとえるなら、覚えた絵は、でこぼこの地面の「くぼみ」です。坂のどこにボールを置いても、いちばん近いくぼみへ転がって止まるように、くずれた絵も、近くの覚えた絵に落ち着きます(このたとえは、このページで作ったもの)。

ヒントンは、ホップフィールドのネットワークをもとに、「ボルツマンマシン」という新しいネットワークを作りました。たくさんの同じような部分でできたものを扱う、統計物理学の道具を使っています。例を見せて学ばせると、その種類のデータの特徴を見分けられるようになり、絵を分類したり、学んだ種類の新しい例を作ったりできます。ヒントンはこの仕事をさらに進めて、今の機械学習の爆発的な発展を始める手助けをしました。

ノーベル物理学委員会の委員長エレン・ムーンス(Ellen Moons)は、物理学でも、決まった性質を持つ新しい素材を作ることなど、とても多くの分野でニューラルネットワークを使っている、と話しています。

確認問題

  1. 問1ニューラルネットワークの1つのノード(人工のニューロン)は、前の層から入ってきた数をどうしてから、次へ渡す?

    答えと解説

    答え:B 1つ1つに重みを掛けて足し、決まった計算に通して渡す

    ノードは、前から入ってきた数の1つ1つに、線ごとの重みを掛けて足し(合計にはバイアスも足します)、活性化関数という決まった形の計算に通して、次へ渡します。たとえば、数が2・1・3で重みが0.5・−1・1なら、合計は3です。いちばん大きな数だけを選んだり、平均を出したりするのではありません。

    くわしくは → ポイント解説:1つのノードは、何を計算しているの?

  2. 問2ニューラルネットワークを学ばせる「誤差逆伝播法」(1986年の論文で示された)は、出した答えと正しい答えのずれを小さくするために、何を直していくやり方?

    答えと解説

    答え:A つながりの重みを、ずれが減る向きへ少しずつ直す

    誤差逆伝播法は、出した答えと正しい答えのずれを、出力の側から前へさかのぼって伝え、ずれが小さくなるように、ノードどうしのつながりの重みを、それぞれ少しずつ直します(1986年、ラメルハート・ヒントン・ウィリアムズの Nature の論文)。ノードの数や、例を入れる順番を直すのではありません。

    くわしくは → ポイント解説:学ぶときは、何をしているの?

  3. 問32024年のノーベル物理学賞を受けたホップフィールドが作ったネットワークに、くずれた絵や欠けた絵を入れると、どうなる?

    答えと解説

    答え:C 覚えた絵のうち、いちばん似た絵になる

    ホップフィールドのネットワークは、覚えた絵の「エネルギー」が低くなるように、ノードどうしのつながりの値を決めておきます。くずれた絵や欠けた絵を入れると、少しずつノードの値を直して、覚えた絵のうち、いちばん似ている絵にたどり着きます。

    くわしくは → ポイント解説:なぜ、ノーベル物理学賞をもらったの?

参考文献と確かめ方

このページは、上の資料をもとにAIが書き、書いたAIとは別のAIが、資料の本文と照らして確かめました(2026年11月8日)。理学の修士号と、高校理科の教員免許を持つ人も読んで確かめてから出しています。数字は、その時点のものです。わかりにくかったところ、誤りのご指摘、解説してほしい用語は、[email protected] へお寄せください。

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