ニューラルネットワークとは?
別の呼び名:Neural network、人工ニューラルネットワーク、ニューラルネット
1分で解説
ニューラルネットワークとは、数を受け取って計算し、次へ渡す小さな部品(ノード)を、層に並べてたくさんつないだ、AIの計算のしくみです。
1つのノードがすることは簡単です。前から入ってきた数の1つ1つに「重み」という数を掛けて足し、決まった形の計算に通して、次へ渡します。気温や写真などを数にして入力の層に入れると、間にある隠れ層を通って、出力の層から答えが出ます。
学ぶとは、出した答えと正しい答えのずれが小さくなるように、重みを少しずつ直すことです。名前と考えは脳の神経細胞(ニューロン)から借りましたが、脳の写しではありません。ChatGPT のようなAIの中身も、巨大なニューラルネットワークです。
よくある思い込み
「ニューラルネットワークは、人の脳をそのまままねて作った、コンピューターの中の脳」
半分は合っています。考えのもとは、たしかに脳です。この技術は初め脳の作りから考えを得たもので、ノードは脳の神経細胞にあたり、ノードどうしのつながりはシナプス(神経細胞のつなぎ目)にたとえられます。でも、まねたのは大まかな形だけです。本物の神経細胞には種類がたくさんあり、シナプスは1つの数(重み)で表せるほど単純ではなく、信号を出すタイミングも大事です。ノードは、神経細胞をごく大まかにまねたモデルにすぎません。この分野は初め、脳のしくみを表すことをめざしていましたが、その後は離れて、機械学習でよい結果を出すための工学になりました。
図で解説
たとえるなら
何列にも並んで、数を伝える人たち
ニューラルネットワークは、何列にも並んだ人たちが、数を伝えて答えを決めるようすに似ています。1列目の人は、気温や湿度などの数を1つずつ持っています。2列目の人はそれぞれ、1列目の全員の数を聞き、「この人の数は重く、この人の数は軽く」と、決まった重みを掛けて足し、自分の数を決めて次の列へ伝えます。最後の列の人が、答え(たとえば雨の量)を言います。
答え合わせで外れたら、ずれの大きさを、最後の列から前の列へ、順に伝えていきます。そして全員が、だれの数をどれだけ重く聞くかを、ずれが小さくなる向きへ、少しだけ直します。これをたくさんの例でくり返すうちに、列全体で、よく当たる聞き方が身についていきます。
たとえが合わないところもあります。人は話の意味を考えますが、ノードは数を掛けて足し、決まった計算に通すだけで、それが気温なのか何なのかを知りません。また、だれの数をどれだけ重く聞くかは、人が1人ずつに教えるのではなく、直すことをくり返すうちに決まります。
ポイント解説
1つのノードは、何を計算しているの?
ニューラルネットワークのノード(ニューロンとも呼びます)は、2つのことをします。①入ってきた数の1つ1つに、それぞれの重みを掛けて足す。②その合計を、「活性化関数」という決まった形の計算に通す。①の合計には、ノードごとに「バイアス」という数も足します。バイアスは、1次関数の式 y=ax+b の b(グラフが縦の軸と交わる所)と同じ考えの数です。重みとバイアスは、どちらも学ぶときに決まる数(パラメーター)です。
たとえば、入ってきた数が2・1・3で、重みが0.5・−1・1なら、2×0.5+1×(−1)+3×1=3です(このページで作った例)。よく使われる活性化関数の1つ ReLU は、マイナスの数なら0にし、そのほかはそのまま通します。この例では、3のまま次の層のノードへ渡します。
なぜ、②がいるのでしょう。掛けて足すだけの計算を何段重ねても、全体はやはり掛けて足すだけの計算で、こみいった関係を学べないからです。②で、まっすぐではない(非線形の)計算をはさむと、層を重ねるほど、とても複雑な関係を表せるようになります。
いくつかの数を受け取り、重みを掛けた合計に計算をして、1つの数を出すしくみを「パーセプトロン」と呼びます。ニューラルネットワークのニューロンは、このパーセプトロンです。パーセプトロンは、1958年にローゼンブラットが発表したしくみの名前です。
層は、どう分かれているの?
数を入れる「入力の層」と、答えを出す「出力の層」、そのあいだの「隠れ層」に分かれます。たとえば、3つの数を入れる入力の層と、答えを出す1つのノードのあいだに、4つのノードでできた隠れ層をはさむとします。隠れ層のノードは、それぞれ3つの重み(入ってくる数1つにつき1つ)と1つのバイアスを持ち、全体で学んで決める数は21個になります。
「隠れ」というのは、入力でも出力でもない、中にある層だからです。1986年の誤差逆伝播法の論文は、入力にも出力にも入らない、中の「隠れた」ユニット(ノード)が、重みを直していくうちに、その仕事で大事な特徴を表すようになる、と書いています。どのノードが何を表すかを、人が先に決めておくのではありません。
隠れ層を2つ以上重ねたものを、ディープ(深い)ニューラルネットワークと呼びます。層を深く重ねると何が変わるのかは、「深層学習」のページでくわしく説明します。
大きなものでは、学んで決める数がとても多くなります。ChatGPT のような大規模言語モデル(LLM)も巨大なニューラルネットワークで、使われているトランスフォーマーというしくみでは、パラメーターが数千億個から数兆個にもなります(くわしくは「トランスフォーマー」のページ)。
学ぶときは、何をしているの?
重みを少しずつ直しています。1986年、ラメルハート(David Rumelhart)、ヒントン(Geoffrey Hinton)、ウィリアムズ(Ronald Williams)は、科学誌 Nature の論文で、「誤差逆伝播法」(バックプロパゲーション)という学び方を示しました。ネットワークのつながりの重みをくり返し直して、実際に出した答えと、出してほしい答えのずれを小さくしていくやり方です。
学ぶときは、2つの段をくり返します。①例を入れて答えを出し、正しい答えと比べて、ずれ(損失)を測る。②ずれが小さくなるように、隠れ層のすべてのノードの重みを直す。②が誤差逆伝播法で、それぞれの重みを増やすか減らすかを決めます。この計算は、出力の側(終わり)から始まり、前へさかのぼっていきます。
1回に直す量は、少しだけです。どれだけ直すかを決める数を「学習率」といい、大きいほど、1回で重みを大きく動かします。まちがいが減る向きへ数を少しずつ動かす「勾配降下法」(くわしくは「機械学習」のページ)を、層の多いニューラルネットワークでできるようにしたのが、誤差逆伝播法です。
重みは、人が1つずつ決めるのではありません。学ぶこと(訓練)とは、モデルのいちばんよい重みを見つけることです。たくさんの例で答え合わせと直しをくり返すうちに、重みが決まっていきます。
脳の神経細胞と、どこが似ていて、どこがちがうの?
脳の神経細胞は、樹状突起(じゅじょうとっき)でほかの細胞からの信号を受け取り、1本の軸索(じくさく)で信号を送り出します。軸索の先は枝分かれして、シナプスというつなぎ目で、ほかの神経細胞の樹状突起につながります。受け取った信号を合わせたものが、ある大きさを超えると、神経細胞は軸索に「スパイク」という信号を送ります。人の神経系には約860億個の神経細胞があり、約100兆〜1000兆のシナプスでつながっています。
ノードは、ここから考えを借りました。ノードに入ってくる数は、ほかの神経細胞の軸索を伝わってくる信号に、重みはシナプスの強さにあたり、活性化関数は、神経細胞が信号を出す頻度を表したものです。ノードどうしのつながりも、シナプスのように、強くも弱くもなります。
でも、これはごく大まかなまねにすぎません。本物の神経細胞にはたくさんの種類があり、それぞれ性質がちがいます。樹状突起は、それ自体がこみいった計算をします。シナプスは1つの重みではなく、複雑に変わり続けるしくみです。スパイクを出すタイミングが大事なところもあります。
この分野は初め、脳のしくみを表すことをおもな目当てにしていましたが、その後は離れて、機械学習でよい結果を出すための工学になりました。名前と考えは脳から借りましたが、今のニューラルネットワークは、脳を写すためのものではありません。
いつ、だれが考えたの?
1943年、マカロック(Warren McCulloch)とピッツ(Walter Pitts)は、論文「神経の活動にひそむ考えの、論理による計算」を出しました。神経の活動は、信号を出すか出さないかの「全か無か」なので、正しいか正しくないかを組み合わせる論理で扱える、という考えです。神経細胞をつないだ網(ネット)のふるまいは、どれもこのやり方で表せる(輪になった網には、もっと込み入った論理を足す)、と論文の要旨は書いています。
1958年、コーネル航空研究所の心理学者ローゼンブラット(Frank Rosenblatt)は、論文「パーセプトロン:脳の中で情報をたくわえ、まとめるしくみの、確率のモデル」を出しました。同じ年の7月、アメリカ海軍研究局がパーセプトロンを公開しました。部屋ほどの大きさのコンピューター IBM 704 に、印の付いたカードを次々に読ませると、50回ためしたあと、左に印のあるカードと右に印のあるカードを、自分で見分けられるようになりました。ニューヨーク・タイムズは「海軍の新しい装置、やってみて学ぶ」という見出しを付けました。
パーセプトロンは、脳の中で神経細胞が協力して働くようすから考えを得た、層が1つのニューラルネットワークでした。1969年には、ミンスキー(Marvin Minsky)とパパート(Seymour Papert)が本『パーセプトロン』でローゼンブラットの仕事を強く批判し、この本がローゼンブラットの研究の行く末を、ほぼ決めてしまったといわれます。それでも、コーネル大学のヨアヒムス教授(Thorsten Joachims)は、ローゼンブラットのやり方は、今の深いネットワークの学ばせ方の土台になっている、と話しています。
その後、1982年にホップフィールド(John Hopfield)が、覚えた記憶の、十分な大きさの一部から、記憶の全体を取り出せるネットワークの論文を出しました。1985年にはヒントンたちが「ボルツマンマシン」の学び方を、1986年にはラメルハート、ヒントン、ウィリアムズが誤差逆伝播法を示しました。
なぜ、ノーベル物理学賞をもらったの?
2024年10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーは、ノーベル物理学賞を、アメリカのプリンストン大学のホップフィールドと、カナダのトロント大学のヒントンに贈ると発表しました。賞の理由は「人工のニューラルネットワークによる機械学習を可能にした、基礎となる発見と発明に対して」です。2人は、物理学の道具を使って、今の強力な機械学習の土台になるやり方を作りました。
ホップフィールドのネットワークは、絵などの形を覚えておき、もう一度つくり出すしくみです。ノードは、絵の点(画素)だと考えることができます。原子の「スピン」(原子1つ1つを小さな磁石にする性質)による物質の性質を表す物理学を使い、覚えた絵の「エネルギー」が低くなるように、ノードどうしのつながりの値を決めておきます。くずれた絵や欠けた絵を入れると、少しずつノードの値を直して、覚えた絵のうち、いちばん似ている絵にたどり着きます。たとえるなら、覚えた絵は、でこぼこの地面の「くぼみ」です。坂のどこにボールを置いても、いちばん近いくぼみへ転がって止まるように、くずれた絵も、近くの覚えた絵に落ち着きます(このたとえは、このページで作ったもの)。
ヒントンは、ホップフィールドのネットワークをもとに、「ボルツマンマシン」という新しいネットワークを作りました。たくさんの同じような部分でできたものを扱う、統計物理学の道具を使っています。例を見せて学ばせると、その種類のデータの特徴を見分けられるようになり、絵を分類したり、学んだ種類の新しい例を作ったりできます。ヒントンはこの仕事をさらに進めて、今の機械学習の爆発的な発展を始める手助けをしました。
ノーベル物理学委員会の委員長エレン・ムーンス(Ellen Moons)は、物理学でも、決まった性質を持つ新しい素材を作ることなど、とても多くの分野でニューラルネットワークを使っている、と話しています。
確認問題
問1ニューラルネットワークの1つのノード(人工のニューロン)は、前の層から入ってきた数をどうしてから、次へ渡す?
答えと解説
答え:B 1つ1つに重みを掛けて足し、決まった計算に通して渡す
ノードは、前から入ってきた数の1つ1つに、線ごとの重みを掛けて足し(合計にはバイアスも足します)、活性化関数という決まった形の計算に通して、次へ渡します。たとえば、数が2・1・3で重みが0.5・−1・1なら、合計は3です。いちばん大きな数だけを選んだり、平均を出したりするのではありません。
問2ニューラルネットワークを学ばせる「誤差逆伝播法」(1986年の論文で示された)は、出した答えと正しい答えのずれを小さくするために、何を直していくやり方?
答えと解説
答え:A つながりの重みを、ずれが減る向きへ少しずつ直す
誤差逆伝播法は、出した答えと正しい答えのずれを、出力の側から前へさかのぼって伝え、ずれが小さくなるように、ノードどうしのつながりの重みを、それぞれ少しずつ直します(1986年、ラメルハート・ヒントン・ウィリアムズの Nature の論文)。ノードの数や、例を入れる順番を直すのではありません。
問32024年のノーベル物理学賞を受けたホップフィールドが作ったネットワークに、くずれた絵や欠けた絵を入れると、どうなる?
答えと解説
答え:C 覚えた絵のうち、いちばん似た絵になる
ホップフィールドのネットワークは、覚えた絵の「エネルギー」が低くなるように、ノードどうしのつながりの値を決めておきます。くずれた絵や欠けた絵を入れると、少しずつノードの値を直して、覚えた絵のうち、いちばん似ている絵にたどり着きます。
関連用語
参考文献と確かめ方
- スウェーデン王立科学アカデミー「The Nobel Prize in Physics 2024: They trained artificial neural networks using physics」(2024年10月8日の発表。2026年11月8日に読んだ)
- Google「Machine Learning Glossary」(neuron・neural network・perceptron・weight・parameter・activation function・backpropagation の項。2026年11月8日に読んだ)
- Google Machine Learning Crash Course「Linear regression」(バイアスと、直線の式の切片。2026年11月8日に読んだ)
- Google Machine Learning Crash Course「Neural networks: Nodes and hidden layers」(2026年11月8日に読んだ)
- Google Machine Learning Crash Course「Neural networks: Activation functions」(2026年11月8日に読んだ)
- Google Machine Learning Crash Course「Neural Networks: Training using backpropagation」(2026年11月8日に読んだ)
- Google Machine Learning Crash Course「LLMs: What's a large language model?」(トランスフォーマー。2026年11月8日に読んだ)
- CS231n(スタンフォード大学の講義 Deep Learning for Computer Vision)の資料「Modeling one neuron」(Biological motivation and connections の項。2026年11月8日に読んだ)
- CS231n(同)の資料「Intuitive understanding of backpropagation」(2026年11月8日に読んだ)
- W. S. McCulloch・W. Pitts「A logical calculus of the ideas immanent in nervous activity」(The Bulletin of Mathematical Biophysics 5巻、115〜133ページ、1943年12月)
- F. Rosenblatt「The perceptron: a probabilistic model for information storage and organization in the brain」(Psychological Review 65巻6号、386〜408ページ、1958年)
- Cornell Chronicle「Professor's perceptron paved the way for AI – 60 years too soon」(コーネル大学、2019年9月25日。2026年11月8日に読んだ)
- J. J. Hopfield「Neural networks and physical systems with emergent collective computational abilities」(PNAS 79巻8号、2554〜2558ページ、1982年4月)
- Geoffrey Hinton の論文の一覧(トロント大学。Ackley・Hinton・Sejnowski「A learning algorithm for Boltzmann machines」Cognitive Science 9巻、1985年 など。2026年11月8日に読んだ)
- D. E. Rumelhart・G. E. Hinton・R. J. Williams「Learning representations by back-propagating errors」(Nature 323巻、533〜536ページ、1986年10月9日)
このページは、上の資料をもとにAIが書き、書いたAIとは別のAIが、資料の本文と照らして確かめました(2026年11月8日)。理学の修士号と、高校理科の教員免許を持つ人も読んで確かめてから出しています。数字は、その時点のものです。わかりにくかったところ、誤りのご指摘、解説してほしい用語は、[email protected] へお寄せください。